今日、レンタルDVDで映画「ツレがうつになりまして」を観ました。
僕は25歳のときに、うつ病になり28年間苦しんで6年前に完治しました。
なのでこの映画は懐かしい気持ちで観ることができました。
この映画の「ツレ」というのは奥さんから見た旦那のことで、うつ病になった旦那を奥さんが献身的に支えてくれるというとても幸せなうつ病患者の物語です。
僕がうつ病だった頃は、うつ病自体ももちろんとても辛かったのですが、中にはうつ病に対してまったく無知で偏見を持っている人もいて、そういう人にとても嫌な態度を取られたことがあり、それも辛かったのです。
この映画では、そういった偏見の目で見られて嫌な思いするというシーンは描かれていません。
でも、そこまで描いてしまうと僕を含めてそういった経験のあるうつ病の人と元うつ病の人が身につまされてしまうので、それでいいと思います。
この映画は旦那がうつ病になったことによって夫婦の愛情を深めることができて、奥さんのお母さんも自分の義理の息子の病気のことを勉強して人間の心を深く考えることができたというポジティブな作りになっていて、観終わったときにほっこりした気持ちになれるとてもいい映画です。
なので本当はうつ病の話はこれで終わりにしたいのですが、ここから本題に入ります。
前述したうつ病に対する無知と偏見の話です。
僕がまだうつ病だった頃にやっていたバイトの職場に最初は僕にフレンドリーだったオジサンがいたのですが、その人に「実は僕はうつ病なんです」と正直に言ってしまったら急に態度が変わって僕を避けるようになり、たとえば休み時間に休憩室でその人のそばに座ると離れたところに移動したりするようになったのです。
もうひとつエピソードを発表します。
あれは僕が修善寺へ一人旅をしたときです。
温泉宿に一泊したときに、どういうシュチュエーションだったかは憶えていないのですが、宿の女将さんにやはり自分がうつ病であることを言ったら、会計のときに明らかに僕に対する態度が硬くなっていて、僕が宿を出るときも女将さんは見送ってくれず旦那さんに遠くのほうから挨拶されただけだったのです。
つまりこのふたつのエピソードを聞いていただければおわかりになると思いますが、うつ病と聞いただけで人に危害を加えるのではないかと思い怖がる人がいるのです。
うつ病というのは気分が落ち込むだけの病気であってキチガイではないのですから決して人に危害を加えるということはありません。
にも関わらずそんなことを思う人は、こっちのほうがよっぽど怖いです。
もちろんそんな人は極少数です。
すべての人に偏見の目で見られたわけではありません。
自分がうつ病であることをカミングアウトしてもほとんどの人は、あぁ~そうなんだぁ~って感じです。
今ではだいぶうつ病というものが理解される世の中になっていると思います。
ただ精神疾患を患っている人の中には反社会的なことをする人もいて、犯罪者が何らかの精神疾患を患っているケースも多いです。
たとえば統合失調症を患っている犯罪者が、人が俺の悪口を言っているという妄想を抱いたり、そういう幻聴が聴こえたりするというケースもあります。
誤解のないように言っておきますが、統合失調症の人は犯罪を犯しがちだと言っているわけではありません。
僕は長年精神科に通院したり入院したりデイケアに通ったりして来たのでわかるのですが、精神疾患を患っているはみんな極普通の人であり、おかしな人はほとんどいません。
話をうつ病に戻します。
犯罪を犯す人は自分さえよければ人はどうなってもいいと考える人であり、自分の欲望を抑えられない弱い人です。
うつ病というのは、几帳面で責任感が強い人がなりやすく、精神的に弱い人がなるわけではありません。
つまり真面目で社会の中での自分の役割がよくわかっていて自分の感情をコントロールできるのですから犯罪を犯す可能性は低いです。
さて、精神疾患を患っている人の中には反社会的なことをする人もいると書きましたが、精神疾患といってもいろんな病気があり、反社会的なことをする人はそれに至った社会的要因やその人の育成歴による影響もあると思います。
たとえば小児性愛障害の人が女の子に性的いたずらをして強制猥褻罪で刑務所に入っても出所してまた再犯で捕まるケースが多いのです。
これは日本の刑務所は相変わらず罰を与えるところであって治療更生させる施設ではないからです。
したがって日本は犯罪者の再犯率が非常に高いのです。
とはいえ僕は小児性愛者なんか気持ち悪いし、みんなそうだと思います。
でもこういう人は現代社会が生み出した現代病なのですから社会全体でなんとかしてあげなければならないのです。
そのためには社会と個人がもっと成熟しなければなりません。
僕はまったく成熟していない人間なので本当はこんな偉そうなことを言う資格はありません。
結局なにが言いたいのかというと、僕はうつ病とうつ病に対する偏見を受けた経験者として精神疾患についてもっと勉強して、精神疾患の当事者と社会がどう精神疾患と向き合えばいいのか考えてみてもいいかなと思った今日この頃というわけです。
本当は、うつ病はキチガイだと思っているバカがいるという怒りだけを書きたかったのですが、話を広げすぎてしまいました。すいません。
でも僕がそういう偏見を受けたのはだいぶ昔の話なので今はもうそういう偏見を持っている人はいないかもしれないしいないと思いたいです。
だって大昔は精神科の病院のことをキチガイ病院なんて言っていたんですから現代はだいぶ差別と偏見のない世の中にはなってますよね。
追記
無知は罪であるといいますね。
僕は叔父に、精神科って保険効かないだろ?とか、うつ病の薬を飲むと酔っ払ったみたいになるの?とか訊かれたことがあります。
身体の病気は保険が効くけど精神の病気は保険は効かないなんてことがあるわけがないし、もし自費だったら精神科は金持ちしかかかれないことになるし、抗うつ剤というのは落ち込んだ気分がフラットになればいいのだから酔っ払うまで持ち上げる必要はないし、そんな強い薬は覚醒剤以外には存在しません。
こんな愚問を発する叔父も罪ですね。
僕も罪人にならないようにいろんなことをしっかり勉強していきたいと思います。