おむぅの日記

主に今日の出来事、フィギュアやドールのこと、映画の感想、ひとり日帰り小旅行などを綴ります。そして時折知ったかぶりもコキます。

宵待蓮蛾さんとの思い出

今から20年前の話ですが、僕は戸川純さんのファンなので「ヤプーズマニア掲示板」というサイトに書き込みをしていました。

そのとき宵待蓮蛾(よいまちれんが)さんという女性が「眠り苺の羽根枕」というサイトを立ち上げて「ヤプーズマニア掲示板」にその告知を書き込んでリンクを貼りました。

宵待蓮蛾さんも戸川純さんのファンで、この「眠り苺の羽根枕」というサイトの趣旨は戸川純さんをはじめとするニューウェーブ全般と80年代サブカルといったところです。

ヤプーズマニア掲示板」に書き込みをしていた人数名と僕がこの「眠り苺の羽根枕」というサイトに書き込みを始めました。

これが宵待蓮蛾さんと僕の出会いです。

とにかく僕と彼女は共通点が多くて、まずは絵を描いているということとうつ病を持っているということと無職であるということです。

彼女は自称画家で宵待蓮蛾というのは画名です。

僕はその当時絵画塾に通っていて森林公園というところで写生会をやって塾生みんなで銀座アートホールというところで展覧会をやりました。

そのことを「眠り苺の羽根枕」に告知して僕の絵の写真がほしい方がいましたら差し上げますと書き込んだら、彼女がほしいというメールをくれて自分の住所が書いてあったので送ってあげました。

このとき彼女は京都在住であることを知りました。

しかし彼女はうつ病で長く自分が管理しているこの「眠り苺の羽根枕」というサイトに書き込みができなくなり、やがてサイトを閉鎖してしまいました。

でもそれ以降も僕は彼女のメルアドと住所を知っているのでお互いにメールを交わして手紙を書いたこともあります。

そしてある日彼女から深夜に過呼吸を起こして苦しいというメールが来たので、僕は朝になってからメールに「過呼吸大丈夫ですか?よかったら電話してください」というメッセージと自分の電話番号を書いて送信したら、すぐ彼女から電話が来ました。

彼女は元気だったので安心しました。

これがきっかけでお互いに電話でも話すようになりました。

しかしあるときから彼女からまったく連絡が来なくなり、メールも電話も通じなくなってしまったある日、彼女の親御さんから死亡通知が届きました。

たぶんうつ病を苦にした自殺だなとすぐ分かりました。

不思議とあまりショックはありませんでした。

というのは彼女は過去にも一回うつ病を苦にして自殺未遂をしていて、そのことを僕にメールで知らせてくれたのです。

なので「ああ~あ、とうとうやっちゃったか」という感じでした。

みなさんは僕が冷たい人間だと思うかも知れませんが、実は僕もうつ病を苦にして何回も自殺未遂をしているのです。 

なのでうつ病が如何に苦しくて死にたくなる病気であるかということをよく知っているのです。

しかも彼女はうつ病ではなくて躁うつ病だったのです。   

躁うつ病うつ病より治りにくく一生つき合っていかなければならないような病気です。

なので「ああ、楽になったんだな」という感じです。

そういったわけで僕は埼玉在住で彼女は京都在住だったので、とうとう一度も直接会うことは叶いませんでしたが、僕は彼女との楽しかった思い出を一生忘れないようにしようと思いました。

それが彼女への供養になると思うからです。

ポルトガルにファドという音楽があります。

アマリア・ロドリゲスという人が代表的なシンガーですが、この音楽は悲劇的な結果になった事柄にもその思い出に愛着を持って大切するというのがその根底に流れている精神です。

僕まさにこのファドの精神で彼女との思い出を大切にしていきたいと思います。