レンタルDVDで映画「舟を編む」を観ました。
ずいぶん文学的な映画だなぁと思って後で調べたら、三浦しをんという人が書いた小説を映画化したものだと分かりました。
馬締光也(松田龍平)は辞書の編集者で林香具矢(宮崎あおい)に恋をするが、言葉を扱う仕事をしていながら言葉で想いを伝えられず、筆で書いたヘンを手紙を渡すという変わり者でコミュ障なのですが、香具矢に
「今、言葉で言ってほしい」
と言われると光也は
「今?」
と訊き返します。すると香具矢に
「今って辞書で引けば?」
と言われます。すると光也は辞書を引きに行こうとします。すると香具矢に
「本当に引かなくていいの!」
と言われます。
相手の言った言葉を文字通り受け取ってしまい、相手がどんな気持ちでその言葉を言ったのか汲み取れないというのは、発達障害の特徴なんですよね。
そして光也は香具矢に
「好きです」
と言うと香具矢は微笑みます。
あと香具矢は板前なので、この映画にはいろんな料理が登場します。
そしてこの映画自体が、出汁のよく効いたお吸い物みたいな作品だなというのが僕の感想です。
辞書を作るという仕事がいかに地味で根気が必要で時間がかかるかということがよく分かる映画です。
良い辞書を作るには編集者の知識と教養と表現力が必要でしょうね。
ちなみにうちに昔ヘンな辞書があって、この辞書で無頓着という言葉を引いたら「頓着しない」と出ていました。
これはもう最悪という言葉で表す価値もない笑うしかない辞書モドキです。
まともな辞書で引くとちゃんと「物事に執着しない様子」と出ています。
きっとあの辞書モドキは、頓着という言葉を引いて自分で判断しろということでしょうね。
実に傲慢で暴力的な辞書です。